アメリカ市場を見据えた“実物のパッケージ”が完成|GKデザイン × 森永製菓 × 湘南工科大学の共創授業 最終発表に密着!
市場調査からプロトタイプ、プロモーションまで。学生たちが約4か月かけて磨き上げた成果を発表
約4か月にわたるプロジェクト、いよいよ最終発表へ
「アメリカ市場で、日本の食品をどう届けるか」
このテーマに、学生たちが約4か月にわたって挑戦してきました。
「おいしい日本、届け隊」では、湘南工科大学 総合デザイン学科 鈴木浩教授が講義を行う「総合デザインプロジェクト3A」、GKデザイン、森永製菓株式会社による産学連携プロジェクトに密着しています。
本プロジェクトでは、学生たちがアメリカ市場を対象に、市場調査やペルソナ設計から商品企画、パッケージデザインまでを一貫して検討。



GKデザインによる海外市場を見据えたデザインやFDA表示ルールの講義、森永製菓株式会社によるマーケティング講義なども踏まえながら、実践的な提案づくりに取り組んできました。
6月に行われた中間発表では、グループごとに市場調査やペルソナ、商品コンセプトを発表。その後は一人ひとりが個人制作へと進み、アイデアを具体的なデザインへと落とし込んでいきました。
▼中間発表の様子はこちら
市場調査やペルソナ設計からスタートした学生たちが、どのようにアイデアを形にしていったのか。中間発表の様子もあわせてご覧ください。

そして8月4日、いよいよ最終発表を迎えました。
今回はその最終発表の様子をお届けします。
プロジェクトスケジュール
本プロジェクトは約4か月にわたり実施されました。
| 日程 | 内容 |
|---|---|
| 4月17日 | オリエンテーション・市場調査開始 |
| 5月22日 | グループごとの進捗確認 |
| 6月12日 | 中間発表(グループ発表) |
| 7月10日 | 個人制作の進捗確認 |
| 8月4日 | 最終発表(個人発表・プロトタイプ発表)★今回取材 |
今回、「おいしい日本、届け隊」は、8月4日に開催された最終発表に参加しました。
6月の中間発表では、各グループがアメリカ市場の調査結果やターゲットとなるペルソナ、商品コンセプトを発表。その後、学生一人ひとりが個人制作へと進み、フィードバックをもとにアイデアをブラッシュアップしてきました。
最終発表では、約4か月にわたるプロジェクトの集大成として、学生それぞれが完成させたパッケージデザインやプロトタイプを発表。さらに、現地での販売を想定したプロモーション施策まで含め、それぞれの提案を披露しました。
「アイデア」から「形」へ。最終発表で大きく進化
中間発表から最も大きく変わったのが、学生たちのアイデアが実際の「形」になったことです。
今回の最終発表では、
- アメリカ市場・競合商品の調査
- ターゲットとなるペルソナの設定
- 商品・デザインコンセプト
- パッケージデザイン
- プロトタイプ
- 現地での販売・プロモーション施策
までを一連の提案として発表しました。
紙や木材、3Dプリントなどを活用して実物に近いプロトタイプを制作した学生も多く、サイズ感や開封方法、店頭での見え方などを実際に検証。
さらに、利用シーンを写真や動画で表現するなど、「実際にアメリカで販売するとしたら」という視点から提案を具体化していました。
板チョコアイス|「食べる時間」までデザインする

森永製菓「板チョコアイス」をテーマにした提案では、アメリカの家族や若者、ホームパーティーを楽しむ層など、それぞれ異なるターゲットを設定。



中間発表で登場していた「シェアする」「食べる体験を楽しむ」というアイデアが、具体的なパッケージへと発展しました。
例えば板チョコアイスでは、商品の個包装パッケージに加え、アメリカでは複数商品をまとめたファミリーパックでの販売が多いことに着目し、複数のフレーバーを詰め合わせたアソート箱も制作。現地の販売方法や消費スタイルまで踏まえ、実際の売り場をイメージしたパッケージを形にしました。


また、パッケージそのものに楽しさを持たせる工夫も見られました。板チョコアイスのパッケージでは、開封時に引き抜くタブを日本刀に見立てたデザインを提案。商品を開ける体験そのものに「日本らしさ」を取り入れ、現地の消費者の印象に残る仕掛けを形にしました。


さらに、複数人でシェアしやすい分割型のパッケージや、開封すること自体を楽しめる仕掛けなど、商品の特徴を活かしたさまざまなアイデアが登場。


単に海外向けのデザインに変更するのではなく、
「誰と食べるのか」
「どんな場面で楽しむのか」
「開けた瞬間にどんな体験を生み出すのか」まで考えた提案が印象的でした。


抹茶そば|日本らしさを、現地で手に取りたくなるデザインへ

抹茶そばでは、「日本らしさ」をどのようにアメリカの消費者へ届けるかが大きなテーマとなりました。
和柄や日本をイメージさせる色使いなどを取り入れながら、それぞれが設定したペルソナに合わせたデザインを提案。


最終発表では、そうした発想をさらにブラッシュアップし、「日本らしさを表現すること」と「現地の消費者に商品として選んでもらうこと」の両方を意識した提案へと発展していました。
中には、海外で高まる抹茶への関心に着目し、「そば」ではなく「抹茶」を前面に打ち出すことで、現地の消費者の興味を引くという提案も。日本の商品をそのまま海外へ持っていくのではなく、現地のニーズやトレンドを捉え、商品の「見せ方」そのものを変えるアイデアが生まれていました。


見た目のインパクトだけでなく、店頭でどのように見えるのか、商品の特徴がひと目で伝わるかなど、実際の販売シーンを意識した視点も盛り込まれました。





ドレッシング|アメリカの食卓から逆算して考える

ドレッシングをテーマにした提案では、アメリカの食文化や売り場を意識したパッケージが発表されました。
現地で一般的な大容量の商品やプラスチック容器、ガラス容器なども研究しながら、商品の品質感や日本らしさをどのように伝えるかを検討。



「日本の商品だから日本的なデザインにする」のではなく、現地の消費者が普段どのような商品を購入し、どのような場面で使うのかを踏まえてデザインする姿勢が見られました。
商品の魅力を伝える前に、まずは店頭で「手に取ってみたい」と思ってもらうことが重要という視点から、持ち方によってさまざまな見え方や楽しみ方が生まれる、ユニークな形状のパッケージも提案されました。




中間発表で議論された「商品の価値をどう伝えるか」という課題に対して、より具体的な形で答えを出した提案となりました。
デザインだけではなく「実現性」まで考える
今回の中間発表で印象的だったのは、デザインだけで終わらない議論が行われていたことです。
学生たちは、
- 輸送コスト
- 製造コスト
- 保存性
- FDAなど現地規制への対応
- 店頭でどのように目立つか(シェルフインパクト) まで含めて検討を進めていました。
実際の輸出では、優れたデザインだけでは商品化できません。
市場調査から企画、デザイン、実現性までを一貫して考えることは、実際の輸出ビジネスに求められる視点そのものです。
パッケージだけで終わらない。「どう売るか」まで提案
今回の発表で特徴的だったのが、パッケージをデザインして終わりではなく、商品を現地でどのように知ってもらい、購入につなげるかまで考えられていたことです。
学生からは、
- SNSを活用した情報発信
- インフルエンサーとのコラボレーション
- 店頭での試食やPOP展開
- アジア系スーパーなどでのテスト販売
- QRコードからレシピや商品情報へ誘導
など、さまざまなプロモーション施策が提案されました。
「良いパッケージをつくれば売れる」のではなく、「誰に、どこで知ってもらい、どう手に取ってもらうのか」まで考える。
パッケージデザインを起点に、マーケティングや販売戦略まで視野を広げた発表となりました。
プロの視点から問われた「本当に実現できるか」
発表後には、講師陣や参加者からそれぞれの提案に対して講評や質問が寄せられました。
評価されたのは、ユーザー視点での工夫や、現地市場に合わせたデザイン、商品の魅力を伝える表現、パッケージを開ける楽しさなど。
一方で、
- この素材で十分な強度を確保できるか
- 実際に量産する場合のコストはどうなるか
- 店頭ではどのように陳列されるのか
- デザインの意図が消費者に直感的に伝わるか
など、商品化を見据えた具体的な質問も投げかけられました。

学生たちも、色や素材を選んだ理由、開封方法、ペルソナ設定の根拠、プロモーションの狙いなどを説明。
デザインの完成度だけではなく、「市場に出すことができるのか」という実務的な視点から活発な意見交換が行われました。
優れた提案を表彰
最終発表の最後には、特に優れた提案を行った学生への表彰が行われました。
完成したデザインの美しさだけではなく、市場やターゲットへの理解、ユーザー視点での工夫、プロトタイプによる検証、デザインの世界観、プロモーション施策の具体性など、それぞれの視点から学生たちの提案が評価されました。
GKデザイン 最優秀賞:町佳典さん、優秀賞:髙橋 若奈さん

森永製菓 最優秀賞:北村健太郎さん、マーケティング賞:井上透羽亜さん

左から井上透羽亜さん、森永製菓株式会社 谷山実希氏、北村健太郎さん
農林水産省「おいしい日本、届け隊」最優秀賞:梅津美佑さん、峯巧光さん

左から梅津美佑さん、峯巧光さん、農林水産省「おいしい日本、届け隊」藤田 隆太氏
「おいしい日本、届け隊賞」では、海外市場やターゲットへの理解に加え、「誰に、どのように商品の魅力を届けるのか」という視点から、提案全体を組み立てていた点などを評価しました。
受賞者には記念品が贈られ、約4か月にわたって試行錯誤を重ねてきた学生たちの成果を称えました。
今回のプロジェクトを振り返り、受賞した学生からは、海外市場を意識したデザインについて、これまで以上に興味を持つようになったという声も聞かれました。

「今回の講義を通じて、海外に向けたデザインにより興味を持つようになりました。日本には良い商品や魅力的なものがたくさんある一方で、その価値が海外に正しく届けられていないものもあると思います。そうした商品の魅力を、デザインの力でより多くの人に届けられるような挑戦に興味があります。」
市場調査から始まり、ペルソナ設定、商品企画、パッケージデザイン、プロトタイプ制作まで取り組んだ今回のプロジェクト。
単にパッケージをデザインするだけではなく、「日本の商品を海外の消費者にどう届けるか」を考えた経験が、学生たちにとって海外市場や日本食輸出に目を向けるきっかけにもなりました。
市場調査から始まった4か月間。その先に見えたもの
4月にスタートした今回のプロジェクト。
当初はアメリカ市場について調べ、「誰に商品を届けるのか」を考えるところから始まりました。
中間発表を経て、一人ひとりがアイデアを磨き、デザインし、プロトタイプを制作。そして最終発表では、その商品を「どう売るのか」まで含めた提案へと発展しました。

今回のプロジェクトを通じて見えてきたのは、海外向けの商品デザインでは、単に「日本らしい」「見た目が良い」だけでは十分ではないということです。
現地の市場や文化を知る。
誰に届けるのかを考える。
商品の価値が伝わるデザインにする。
実際に作れるのかを検証する。
そして、どう知ってもらい、購入してもらうのかを考える。
こうした一連のプロセスは、日本の食品を海外へ届ける実際のビジネスにも通じるものです。
学生のアイデアと企業の知見が交わり、日本食輸出の新たな可能性へ
今回の最終発表では、学生ならではの自由な発想と、企業からの現実的な視点が交わることで、多様なパッケージやプロモーションのアイデアが生まれました。
中間発表ではまだ構想段階だったアイデアが、約4か月を経て、実際に手に取れるプロトタイプへと変わっていく。その過程には、海外市場に商品を届ける上で重要な「現地の消費者から逆算して考える」という視点が随所に表れていました。
「おいしい日本、届け隊」では、今後も日本食輸出の現場で生まれる新たな挑戦や、企業・教育機関などによる人材育成・価値創出の取り組みに注目し、その可能性を発信していきます。
